2004年08月01日

高校試合レポート(2日目)

<予選リーグ第3試合>
==========================================================================
【試合コード:H31B】

肯定側   否定側
創価高校(東京) vs 県立八戸高校(北海道)

メリット:原発事故の防止
デメリット:停電
地震は起こるだろう。壊れる問題は反駁があったが、立論でしっかり証明されているのでつぶす事ができず、発生は否めない。
停電は三本立てでしっかりしていたが、証明の不足の点もあり、深刻性が大きくとられなかった。
原発のほうが火力より化石燃料を使うという証拠資料は不発に終わった。
(那須雄太)

==========================================================================
【試合コード:H32A】
肯定側        否定側
県立修猷館高校(福岡)vs 県立岡山操山(岡山)

「原発事故」対「大停電・国際的信用の失墜・環境問題」と大きく深刻な問題が争点となった。
両者の主張は真っ正面から対立したが、否定側が価値比較に重点をおいたのに対し、肯定側は証拠資料で徹底的に固めるというスタイルを取り、肯定側の戦略勝ちとなりました。
(大山大輔)

==========================================================================
【試合コード:H32B】

肯定側   否定側
明星高校(大阪) vs 県立新浜東高校(愛媛)

肯定側は静かにジャッジを見ようと意識しているのが分かる試合でした。
内容的には、プランについては4つのプランについての証明がなされていなかった。
しかし、否定側も指摘に証明がないため、話が微妙になってしまった。
メリットは成立するかしないかで話がされましたが、成立したら危険が大きくとられる状況で、否定側が「危険があるからやめていいのか」というのに対して、「リスクが大きすぎる」と反駁したため、肯定側が勝利。
(高橋徹)
==========================================================================
【試合コード:H33A】

肯定側   否定側
慶應義塾高校(神奈川) vs 県立三池高校(福岡)

メリット:地震などによる死防止
デメリット1:温暖化による病気の蔓延
デメリット2:社会悪の増加
肯定側は考えがよくまとまっており、反駁にもラベルをつける等、コミュニケーションへの工夫が見られた。
否定側は、適切なスピードでなおかつ内容の充実した論を展開しており、好感が持てた。
全体としてみていて興奮するような良い試合だった。
(池田淑子)

==========================================================================
【試合コード:H33B】

肯定側   否定側
県立丸亀高校(香川) vs 県立膳所高校(滋賀)

メリット:原発事故の回避
デメリット:失業者の増加
(感想)
メリットは立論の時点で発生過程があいまいで、原発テロの発生可能性が極めて小さかった。
デメリット1がCO2の増加なのか、エコ社会の促進が害されるのが、国際的信用がうすれるのか、もっと証拠資料に一貫性を持たせることが必要。
両者とも相手の立論・反駁に的をいようとしながら、よく反駁してた。
(島名香代子)

==========================================================================
【試合コード:H34A】

肯定側        否定側
ノートルダム清心高校(広島) vs 県立能代高校(秋田)

肯定側はメリットとして「地震による放射能漏れ」を防げるとの立論を出した。
否定側はデメリットとして「電力不足」を立論として出した。
原発はM7.5程度でも壊れないのではないか、電力不足になってもおきな被害はないのではないか等の反駁が双方から出た。
結局、電力不足による被害は大きいとの意見があり、否定側能代高校が勝った。(西田昭子)

==========================================================================
【試合コード:H35A】

肯定側   否定側
愛知県立千種高校(愛知) vs 札幌聖心女学院高校(北海道)

お互いの議論を聞きあって伸ばしていこうという意識が見られたすばらしい試合だった。
地震が発生するのかどうか、現状で京都議定書が守られているのかどうかが論点となった。
しかし、どちらも発生せず、現状でもわからないも、問題はないととったジャッジが2名おり、
その結果1-2で否定側の勝利となった。
(本土歩美)

==========================================================================
【試合コード:H35B】

肯定側   否定側
佐賀清和高校(佐賀) vs 開成高校(東京)

メリット:事故回避
デメリット:高速増殖炉の技術革新を妨げる
事故に対して、反駁があったが、再反駁がなかったので、発生は微妙。
デメリットは新しかったが、エネルギー問題の具体性が出ず、いまいち。
結果、重要性の風評と深刻性のエネルギー問題のどちらが大きいかというところで勝敗が分かれた。

==========================================================================

【試合コード:H36A】
肯定側       否定側
東海高校(愛知)vs 県立下館第一高校(茨城)

肯定側は原発の危険性を緻密に計算し、そのインパクトの大きさ一点で勝負をかけました。
それに対し否定側は相手側主張の明快な位置づけ、相手資料の分析まで徹底的に行った上で、火力依存によるコスト増、京都議定書不遵守による信頼失墜、原発立地地域の経済問題など多様なデメリットをぶつけました。
実に伯仲した議論でしたが、原発の危険性を消しきることはならず、肯定側に軍配があがりました。


==========================================================================
【試合コード:H36B】

肯定側   否定側
県立長崎南高校(長崎) vs 関西創価高校(大阪)

両チームとも、主張がわかる、わかりやすいディベートでした。
また、内容、構成、発表も反駁もわかりやすく、審判にとって不明な「これどうだ?」というところがないはっきりしたディベートでした。
ですが、反駁では、サインポスティングを上手く使ったらもっとよくなる試合でした。
内容については、デメリットの1点目が流れの中で発生せず、デメリットの2点目も質疑では上手く聞けていたのですが、それを反駁で生かせなかったこともあり、それなりに残ってしまうと判断されました。
そのデメリット2とメリットの価値比較になるのですが、メリットは証明の段階で、どうしても起こるのかな?と思ってしまい、とられませんでした。
こういったことにより、否定側の勝ちとなりましたが、とても接戦でした。(高橋徹)

==========================================================================
【試合コード:H37A】

肯定側   否定側
駿台甲府高校(山梨) vs 県立富山中部高校(富山)

メリット:放射能被害による死防止
デメリット:エネルギー不足
基本的に論点のかみ合った良い試合だった。
ただ、争点になった部分がそう大事ではなかったのがマイナスだった。
著しい力の違いもなく、見ていて楽しめた。
(池田淑子)

==========================================================================
【試合コード:H37B】

肯定側   否定側
高蔵寺高校(愛知) vs 北嶺高校(北海道)

両校相手の前提条件を確認しながら上手く反駁できていた。
特に、第2反駁は双方比較ができていた。
肯定側はどのくらいの確率でおこるのかあいまいだった。
否定側は念蜜な立論でかなり発生過程をがっちりとかためていた。
(島名香代子)

==========================================================================
【試合コード:H38A】

肯定側   否定側
福岡県立小倉高校(福岡) vs 愛知県立岡崎高校(岡崎)

メリット:原発震災への回避
デメリット:CO2排出量増加による地球温暖化による異常気象
(内容)
肯定側は大地震の危険があると指摘し、老朽化した発電所は壊れ、放射能汚染が起こると主張。
否定側はプラン後は火力発電に大きく頼ることとなり、CO2の排出量が増え、地球温暖化が進み、異常気象が起こると主張。
(論点)
・現在の原発事故対策は大丈夫なのか。
→肯定側は古い設備が基準で、否定側は新しい設備を基準とした実験を根拠としている。
 現在の耐震基準はどうなのか。
・問題の深刻性
→否定側のプロセスがあいまいであり、肯定側の主張した問題のほうが深刻であった。
(感想)
議論がよくかみ合っていた。双方とも立論が聞き取りやすく、話がわかりやすかった。
肯定側の「耐震基準が間違っている」という疑いに否定側も反駁していたが、この点は不明確に終了してしまったのが残念だった。
(藤生陽子)

==========================================================================
【試合コード:H38B】

肯定側   否定側
県立金津高校(福井) vs 東北学院高校(宮城)

肯定側が出してきたメリットは「安全性の確保」で、地震による事故、廃棄物等の危険性の回避を主張した。
一方否定側が出してきたデメリットは「一時エネルギーの不足」と「広範囲にわたる停電」の2つだった。
判定は、メリットは否定側第一反駁の主張が有効に作用したため、とても小さいものとして評価された。
デメリットについては、デメリット2で停電が起こるかどうかについての評価が分かれたが、デメリット1はほぼそのまま評価されたこともあって、0対3で否定側、東北学院高校が勝利した。
(嶋田美樹)
==========================================================================
<決勝T第1試合>
==========================================================================
【試合コード:HT1A】

肯定側       否定側
創価高校(東京)vs 明星高校(大阪)

メリット:事故の回避
デメリット:ベストミックスの崩壊
肯定側は東海大地震による浜岡原発事故の危険性に的を絞った議論をした。
否定側からは、1つの原発だけの限定的なリスクであるとの反駁がされたが、ある程度の危険性があることは認められた。
否定側は、化石燃料の需要増に伴う電力の不安定化を問題とした。
経済への影響が全国規模で生じると主張したが、立論段階で具体性にかけていたこともあり、評価はまちまちだった。
互いに論証が不十分だったことで、審判の判断にゆだねられる余地が大きく、判定は分かれたが、2-1で肯定の勝利になった。
(大竹祐司)

==========================================================================
【試合コード:HT1B】

肯定側   否定側
慶応義塾高校(神奈川) vs 早稲田大学高等学院(東京)

メリット:爆発事故防止
デメリット:停電 ガス爆発事故率が上がる

(感想)
何かと比べられる早稲田、慶應ですが、今年のディベート甲子園でもこのカードが実現しました。
試合内容としては両校ともさすがに予選を勝ち抜いてきただけあり、とても白熱しておりました。
今まで自分が担当した試合では見られなかったのですが、この試合は資料比較といったことがおこなわれており、また、個々の論点の議論もとても緻密な議論になっておりました。
両方の第二反駁も一方は情熱的に、一方は冷静に議論をまとめて、どちらに転ぶか分からない試合になりました。
結果はわずかな差で早稲田の勝利となりました。
(上原伸幸)

==========================================================================
【試合コード:HT1C】

肯定側   否定側
東海高校(愛知) vs 札幌聖心女子学院高校(北海道)

メリット:危険性の除去
デメリット:温暖化がが深刻になる

議論はお互いによくかみ合っていた。
争点となったのは地震がおきるか否かであったがどこで起きるかは分からないが、いつかは起こるだろうということで審判は一致した。
否定側の立論に対して、肯定側はあまり反駁できていなかったが、否定側の立論に構造的な欠陥があったため、ジャッジの主観にゆだねられてしまった。
結果3-0で肯定側の勝利となった。
(本土歩美)

==========================================================================
【試合コード:HT1D】

肯定側   否定側
北嶺高校(北海道) vs 県立小倉高校(福岡)

肯定側のあげたプランは「火力→ガスコンバインへの切り替え」
メリットは「放射能汚染の回避」
否定側のあげたデメリットは「火力依存による停電」
議論の中心は「電力供給の可否」「原発事故発生か否か」。
その焦点は「地震発生の是非」「原発機器が正常稼動するか」「老朽化」「火力発電→ガスコンバインの実現性」
判定はプランに関する説明責任。
否定側はプランを基に発生するデメリットを論じる以上、質疑等で積極的に追求すべき。
否定側が結局十分に肯定側の立論を崩せなかったため、肯定側の勝ち。
(土屋ハインリッヒ)

==========================================================================
【試合コード:HT1E】

肯定側   否定側
県立八戸高校(青森) vs 県立修猷館高校(北海道)

メリット:恒久的な発電
デメリット:失業者の発生
(内容)
肯定側は恒久的な安定した電気の供給と否定側は短期的に見た死者の増加やプラン導入における危険性の増加という対照的な論の展開であり、白熱した試合展開であった。
試合の中では立論がとても聞きやすく、反駁内容が的確であったことがすばらしかった。
試合内容は強豪校の一角である修猷館高校の反駁で、この試合の中でもっとも重要な位置づけとなったデメリット2の深刻性がジャッジにも大きくとられ、決め手となった。
今後の試合において修猷館の立論と反駁の質のバランスが結果を大きく左右するであろう。
(神永誠)

==========================================================================
【試合コード:HT1F】

肯定側   否定側
県立膳所高校(滋賀) vs 県立能代高校(秋田)

メリット:国民の安全
デメリット:停電による経済被害
決勝トーナメントにふさわしく、白熱した試合となった。
まず、スピーチの仕方、スピード等において聴衆に分かりやすくなされていた。
主な争点としては原発の部品の老朽化に対応するメンテナンスが上手くできるのか否か、代替発電としての悪い例である風力や火力を一般化できるのか、などであった。
結局、能代高校の勝利。
(西田昭子)


==========================================================================
【試合コード:HT1G】

肯定側   否定側
関西創価高校(大阪) vs 開成高校(東京)

否定側のデメリットは深刻性がなく、デメリットとして成立せず、メリットが極小で成立し、肯定側の勝ちでした。
(島名香代子)

==========================================================================
【試合コード:HT1H】

肯定側   否定側
東北学院高等学校(宮城) vs 駿台甲府高等学校(山梨)

今回は双方とも全国大会出場経験があり、決勝トーナメントにも出場したことある強いチーム同士の対戦となり、非常に議論がかみ合った白熱した面白い議論となった。
肯定側は「放射能被爆の回避」と「分散型発電の実施」というメリットを、否定側は「電力不足」「雇用の減少」というデメリットを掲げた。
議論は原子力発電所の危険性が争点となり、豊富な資料を的確に引用した否定側び主張がジャッジの心を捉え、3-0で否定側の駿台甲府高等学校が勝利した。
(野寺正秀)
==========================================================================
<決勝T第2試合>
==========================================================================
【試合コード:HT2A】
肯定側             否定側
早稲田大学高等学院(東京)vs 創価高校(東京)

高校決勝トーナメント準々決勝。
肯定側・早稲田大学高等学院が、放射能漏れの回避というメリット一つで勝負したのに対して、否定側は電力不足による停電と将来的な排気ガス対策の消失という2つのデメリットを主張した。
お互いに相手の主張をつぶしきれない部分が残り、メリット・デメリット共に一応発生するとされた。
最終的に価値比較によって1-2で否定側・創価高校の勝利となった。
(廣江真夏子)


==========================================================================
【試合コード:HT2B】

肯定側   否定側
東海高校(愛知) vs 北嶺高校(北海道)

メリット:「危険性の除去」
デメリット:「アジアの原発の危険が高まる」
デメリットは、日本の技術がなくなって技術協力がなくなった結果、アジアの技術が下がると、チェルノブイリ級の事故が起こるという話は分かりやすかったです。
しかし、日本の原発が欧米の1000倍の安全性という話はよく分かりませんでした。
また、アジアの原発が爆発するという証明もありませんでした。
この立論は、立論の段階から肯定側をたたくというポイントが見えていて、以上のことからあまり大きくとられていません。
問題はメリットの「危険性の除去」、これがどのくらいかということでした。
立論の読み方は多少速かったようです。ですが、要点を書き取らせる努力がよく見られました。
たであ、単位については、審判があまり判定に影響をさせていなかったようです。
メリットの重要性については否定側からも反駁はありましたが、あまり的確に反駁ができておらず、重要性は残るということになりました。
勝敗の鍵となったのがメリットの発生過程の原発が地震で壊れるのかどうか、という話の攻防で、これが成立すれば、肯定側の勝ちという状況になりました。
このポイントは、より論点が深められるかどうか、ということでしたが、お互い反駁をしあいましたが、攻めきれず、判定も分かれました。
その結果、2-1で肯定側の勝ちということになりました。
(高橋徹)

==========================================================================
【試合コード:HT2C】

肯定側   否定側
県立能代高校(秋田) vs 県立修猷館高校(福岡)

メリット:放射能事故防止
デメリット1:一極依存の不安定化
デメリット2:危険な代替発電
論を聞くたびにどちらにも転びそうになるような、白熱した試合だった。
リサーチしてもしっかりしているのが良く分かったし、聞き手に伝えようという心が良く分かったすばらしい試合だった。
(池田淑子)


==========================================================================
【試合コード:HT2D】
肯定側          否定側
駿台甲府高校(山梨) vs 関西創価高校(大阪)

肯定側の出したメリットは「労働者被爆」と「事故の回避」の二つでした。
それに対して否定側のデメリットは「温暖化」と「地域経済の衰退」でした。
ジャッジの判断として、メリット2とデメリット1に関してはほとんど評価されなかったのに対して、メリット2とデメリット2はジャッジの間で意見が分かれました。
メリット1をあまり大きくとらず、デメリット2とおなじくらいかそれより小さいと判断したジャッジが二人、メリット1を大きく取って、デメリット2をほぼとらなかったジャッジが一人ということで1-2で否定側の関西創価高校の勝利となりました(嶋田美樹)
==========================================================================

投稿者 s98351hk : 2004年08月01日 19:10 | トラックバック